IOWN構想とは何か？

IOWN:アイオン構想とは何か？ですが、NTTが研究開発している超高速大容量通信の事です。

“Innovative Optical and Wireless Network”

頭文字をとってIOWNって事みたいですねぇ！

以下NTTのサイトからの引用です。

IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想とは、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用し、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信ならびに膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤の構想です。2024年の仕様確定、2030年の実現をめざして、研究開発を始めています。

この IOWN ですが2023年3月から提供を開始すると発表しました。

高速通信と言うと光回線を思い浮かべると思います。確かに光回線は非常に高速ですが端末から端末までの間に サーバーなどがあり完全に光回線のスピードの恩恵を受けてるとは言い難い部分があるようです。光にデータをのせてそれをいったん電気信号に変換しますが、この変換の時に遅延が発生します。それでも通常の回線よりはずっと速いのですが IOWN は電気信号に変換せず全て光で通信を行うというものらしいです。 そうすることにより従来比1/200の低遅延を実現したそうです。

また従来では電気信号に変換するときに熱も発生し電気もより多く使っているようなんです。 その工程がなくなることにより、低エネルギーで環境にも良いという触れ込みです。

いったい従来に比べどれほど速くなるのか？

従来比1/200の低遅延と言われてもいまいちピンと来ません。一体どれほどの速さなんでしょうか？

先日ニュースでアイオンの PR と思いますが、東京と大阪間でリアルタイム通信しながらオーケストラが合同演奏をしていました。 ちなみに東京大阪間は約700 km 離れています。

これは音楽をやる方ならわかるかもしれませんが実はすごいことなんですね！

バンド演奏でもそうですが他の楽器と互いにリズムをとりながら演奏をシンクロさせるわけです。わずかな遅延でもうまくノリが出てくれないんですよねぇ…

そんなこと言われても遠方の方と電話で話したり、オンライン会議などで特に遅延を感じることはないんだけど？？と思われる方も多いと思います。

しかし実際には遅延があり、それが大した問題になっていないだけだと思います。電話で会話をしますが相手が話してからそれに対し受け答えをする。あまりに遅延があれば違和感を感じますが、わずかな遅延では大した問題にはなりません。しかし離れたところでお互いに演奏をするとなるとちょっと話が違います。わずかな遅延が致命的です。

家でレコーディングをする方は実感したことがあるかもしれません。 PC で録音をするのですが先ほどの光回線のようにアナログ信号を デジタル信号に変換し PC に記録するという基本的な流れがあります。このデジタル信号に変換する方法も色々あり性能が悪いと遅延が大きいんですね。 コンマ何秒の遅れでも全く思い通りに演奏ができないという感覚になります。しかし会話のコンマ何秒の遅れでは大した問題にはならないでしょう。

IOWN での遅延は700キロ離れた東京大阪間で8ms（8ミリ秒） ということらしいです。 8ミリ秒とは0.008秒の事です。これはほぼ遅延は無いと言っても良いレベルです。まったく感じないレベルでしょう。ちなみに8ミリ秒は音が3ｍ進む距離だそうです。つまり演奏者が3ｍ離れて聞いた場合と同じ聞こえ方と言う事になります。700キロ離れた演奏者が回線を通じてほぼ同時に聞こえるレベルと思ってよさそうです。

3ｍ離れてる場合と同じって事は、バンドでスタジオ練習していてもそれ以上離れている事もあるくらいですから、まったく距離は関係ないと思って良い事になります。

これでなんとなくのイメージは出来たでしょうか？

これはどういうことかと言うと、スピードがこれほど速くなるということは距離の概念が今以上になくなるということになります。

以前ブログでも軽く触れたのですが回線速度がどんどん速くなると地球上のどこかにあるスーパーコンピューターにアクセスし家ではキーボードとモニターがあるだけなんていうことも考えられるといったことをブログに書いたことがあります。

この技術が一般に普及するにはまだ数年かかるでしょうが、 実現したら低遅延化かつ揺らぎの少ない通信の実現で、遠隔医療や工場のスマート化、eスポーツなどの分野でより複雑かつ高度なサービスを提供できるようになる可能性があるでしょう。

また自動車同士が通信を行い互いにぶつからないような技術が研究開発されていると思いますがそういったところにも使われるでしょう。 

これは思った以上に凄いことになりそうな予感です。まだ実感できない人も多いかもしれません。しかし私は昔こう思いました。

アナログ回線からデジタル回線へ移行するかしないかの時期です。その頃のインターネットは今から比べると非常に遅く我慢ならないほどのレベルだったと思います。しかし当時はそれが当たり前だったのでデジタル回線で速くなると言われてもその必要性があるだろうかと思った時期がありました。しかし一旦アクセスが速くなると元のスピードには戻れなくなるんですよね？

この IOWN ですが普及しみんなが使うようになるとそれが常識になります。常識になるのもそれほど遠い将来ではありません。せいぜい5、6年じゃないでしょうか？

5、6年後に今を振り返りよくあんな遅いスピードでやっていたなーなんて懐かしむ時代が来るのかもしれません。その頃には今では考えられないようなサービスが普及してるかもしれませんし常識が変わっていることだと思います。