アナログからデジタルへ

 

 

レコードから CD に切り替わった時、音が冷たくなったとか味がなくなるだとか嘆かれたものですが、テレビがアナログ放送からデジタル放送に切り替わった時そういった声は聞きませんでしたね？あれは何故なんだろう？と考えたことがあります。

 

私はかろうじてレコードの事を知ってる世代だと思います。レコード世代の人は口を揃えてCDになって味気なくなったと言います。それは音だけではないですけどね。CDとはコンパクトディスクでその名の通りサイズがコンパクトになり、音声信号もアナログからデジタルになりました。味気なくなったと口を揃えていう理由の一番大きな理由はおそらくジャケットでしょう！レコードの頃ってそれはもう立派でした。それが楽しみでレコードを買っていたといってもいいぐらいですね！とにかくレコードはレコード以外の特典が立派だったんですよ！レコードを買わないと手に入らないような物があり、それが貴重だったんでしょうね！CDになるとサイズは小さくなりジャケットもなんだか寂しいものに感じたって事なんでしょう。

 

音楽プレイヤーで再生する方法も大きく変わりました。レコードの醍醐味はあの針を落とす瞬間ですね！あの感じがたまらなくいいのでしょう。その点CDはお手軽になりました。それがいいのでしょうが、レコードのあのひと手間が良く感じたって事だと思います。音楽プレイヤーも当時はミニコンポといって（今考えると全然ミニではないですが）レコードプレイヤーがありアンプがありカセットプレイヤーがありイコライザーもあり、それぞれがセパレートタイプになっているものが主流で、左右には大きなスピーカーがあってかなり場所をとっていました。でもあれがステータスでもあったわけです。

 

 

時代は変わり音もアナログからデジタルへ移行しました。音に注目するとレコードとCDの音の違いはクリアさにあるでしょうか。レコードは良くも悪くも“サー”といったノイズがありました。CDにはそれがなくとてもクリアです。これが人間の耳には音が冷たくなったって表現される原因でしょう。

 

 

豆知識として一つ、CDは記録時間が最大74分ですが、これはベートーベンの交響曲第九が収まる長さにしたとの事らしいです。年末に良く聞くクラシック音楽には珍しい合唱の有名な曲です。

もう少し音について専門的な話をするとCDは少し音データが圧縮されています。高音部分と低音部分が少し削られているわけです。現在ではハイレゾとかいって無損失のデータで聞けるものも多いですが、いかんせんプレイヤーが簡易的なもので聞くことが一般的になった為、なんとなく宝の持ち腐れ的に感じてしまいます。良いアンプ、良いスピーカー、そして良いプレイヤーで聞くと音は空間でなっているように聞こえます。立体的に聞こえるんです。今は再生機器が進化したといっても簡易的に手軽に聞けるって事を追求してますから本格的に音楽を楽しみたいのなら音楽を聴く環境をしっかりと作る事をお勧めします。しかしこだわると際限なくお金がかかりますが…

 

 

冒頭の疑問に戻りますが、アナログからデジタルへの変化でレコードとCDを引き合いに出しましたが、テレビ放送もアナログからデジタルへ変化を遂げました。あの時は特に味が無くなったとかアナログのが良かったって事はほとんど聞きませんでしたね？映像も非常にクリアになり感動を覚えました。私なりに分析してみたのですが、普段見るテレビってものに対して熱いこだわりを持っている人はあまりいないって事なのかなぁと思っています。テレビを見られたら良い、見るならより綺麗に見れた方が良いってだけであり、レコードの様に手間をかけて音響環境をつくり人によっては自分が聞く位置まで数センチ単位でこだわる人もいたはずです。スピーカーの向きを調整しても耳の位置がズレたら意味ないですからね？そんな手間をかけて聞く音だから愛着があるし、その音が良いっていうのは単純に音が良いとかでは語り切れない色々な思いを含んでの事なんですよね？

 

色々な事が便利になる世の中、忘れてはいけない物がアナログには含まれている気がします。